『テーマ・夜中三時』 2007/6/9


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「やだ、またやっちゃった……」
 モニターの右下にある時計が三時になっている。
 二時からやらなきゃいけないことがあるのに、毎週毎週
小説スレを見てサボってしまう。
「だっておもしろいんだし……しょうがないよね」
 こんな夜中に出歩かなくて済んだのだ。ナイフを持った
変質者に襲われないだけいいじゃない。
 そう自分に言い聞かせて私はパジャマに着替える。
 着替えながらもスレの更新は欠かさない。
 着物を脱ぎ、素早く全裸になったら更新、ショーツを履
いたら更新、ブラをつけたら更新、パジャマを着たら更新
━━
 スレが停滞したのを見計らってパソコンを消し、布団に
潜り込む。
 息を鼻で吸い、口で吐きながら、自分だけの神様に語り
かける。
「わたしはとしあき達に感謝しています。
 彼らは屑でカスで今朝捻り出したブツ以下の私を救って
くれています。
 でも、としあきたちは所詮としあきです。
 会社の私を救ってなんかくれません。
 隣の席の女は私の悪口を言い触らします。
 向かいの席のババアは私に八つ当たりしてきます。背中
越しにいる上司は私のお尻を舐めるように見てきます。
 つらいです。またつらい一週間です。みんな死んでほし
いです。
 だから神様、それにとしあき、来週こそは丑の刻参りに
行かせてね♪」
 



 了



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